「かがり火に たちそふ恋の煙こそ 世には絶えせぬ 炎なりけれ」
源氏物語の主人公、光源氏が玉鬘に贈った恋の歌にも登場する「かがり火」。
奈良・平安の昔から、人々の暮らしを照らし続けてきたとも言われる、かがり火の炎は、私たちの心に底知れぬ安心感をもたらせてくれるのです。
かがり火は、私たちに、明るさと暖かさを与えてくれます。
人間は、夜行性の肉食動物のように夜目が利きません。
暗闇は、常に身の危険と隣り合わせの恐怖の世界。
スイッチ一つで明るくなる現代とは違う古の時代、かがり火が人々に与えた安らぎは計り知れません。
さらに、かがり火の暖かさに吸い寄せられるように、いつしか人々は集い、親睦を深めていきました。
先ほどの、源氏の君の歌ではないけれど、かがり火の炎に添って、恋の炎も数知れず燃え上がったことでしょう。
このように、人と人の縁を繋ぐかがり火の炎は、縁起物として、いつしか大切なお客様をお迎えする『商篝火(あきないかがりび)』となりました。
煌めくネオンはもちろん美しいけれど、やはり、人を惹きつける暖かさは感じられません。
光と熱、二つの魅力で私たちの心を捉えて離さないかがり火を見ながら、お客様に上質な時間を過ごしていただく…。
これぞまさに、太政大臣にまでのぼりつめた、源氏の君を彷彿とさせる、最高のおもてなしです。
とは言うものの、元々、かがり火の燃料は薪。
実際に、一晩中、燃やし続けるのは並大抵のことではありません。
光源氏も、この歌を詠む前に、消えかかったかがり火を見つけ、火を足すように命じています。
その点、LPガスによるかがり火は、管理も簡単で、消えてしまう心配も要りません。
燃料を薪からLPガスに変え、現代版『商篝火』は、「世には絶えせぬ炎」となって、私たちの心を照らし続けてくれることでしょう。
源氏の君も羨むかがり火なんて、何とも素敵ではありませんか…。